オプション理論解説 (2)

ガンマとセータ

登場人物:
さる (猿山のサル)
神様 (全知全能の神)

さ:「神様~、ガンマって何ですかぁ、キキー!」

神:「お~、最近はサルもオプションやる様になったか。と、言うか金融機関は素人にも手を出し始めたかぁ。備えよ、されば騙されん~。サルが勝てる訳無いのだぁ、アーメーン。」

さ:「神様、だから知恵を付けようと思ってるんですよ。ガンマを教えて下さいな。」

神:「サル知恵とは良く言ったものだ。やっぱり勝ち目は無いなぁ。負け組でも導かなければならないところがこの仕事のつらいところだなぁ。
ガンマとは、為替レートが変化するに従って、デルタ自身がどの様に変化するかを表したものであ~る。 特徴は、オプション期間の長いものと短いものを比べると、短期のオプションは、為替レートが変化するに従って長期のオプションよりデルタが急激に変化するのであ~る。
また、同じオプションであっても、現在の為替レートが何処にあるかによってデルタの変化率も違ってくる。ガンマはATMの時が最も大きく、ITM、OTMになるに従って、小さくなるのであ~る。これ定説ね。 」

さ:「うわぁ、オレ選ぶ神様間違えちゃったのかなぁ。しかし頭パタパタ叩かれるまで分からん。」

神:「何か言ったか?」

さ:「いやいや、ありがたいお言葉ありがとうございます。で、ガンマってなんで重要なんでしょ?」

神:「この間ご隠居と八つぁんが話しておったわ、デルタが変化するたびにヘッジの比率を変えなくてはならないから、そのたびにヘッジコストが発生するとなぁ。だからデルタが急激に変化するという事は、2つの事柄に影響があるのだ。一つは、オプションのポジション管理に細心の注意を払う必要が有ると言う事。もう一つは時間単位のヘッジコストが上昇すると言う事じゃ。
だから、オプションをトレードするときは、デルタだけではなくて、ガンマにも注意しなくてはならないのだ。これは複数のオプションからなるポートフォリオのヘッジやリスク管理をする場合、特に重要であ~る。デルタ値が同じポートフォリトを比べても、ガンマ値が大きく違う事は良くあるのだ。その様な時はガンマの大きい方が、ポートフォリオの損益の変化も大きくなるのじゃ。 」

さ:「おお、度々のありがたいお言葉ありがとうございます。ところで、オプション期間が短くなるにつれて、ガンマが大きくなる事と、セータって関係有るんですか?」

神:「結構サル知恵ついてきたな。でもこの調子でどんなにガンバッテも、サルが人間になるにはあと何百万年もかかるのだ。気長に頑張るが良い。
セータとは、為替レート、ボラティリティ等を一定にしてオプション期間を短くした場合、プレミアムがどの様に変化するかという概念を表したものであ~る。セータはオプションがITM、OTMの時は小さく、ATMが一番大きい。また、ATMのセータはオプション期間が長いときは小さく、短くなるにつれて大きくなる。行使日に近づくに従って加速度的に大きくなるのであ~る。」

さ:「なんでそうなるのか分かりませんが、キキー!」

神:「サルめ、この現象はガンマの変化と結びつければすぐに分かるのだ。オプション期間が短くなるにつれガンマが大きくなるという事は、先ほども言った様に時間単位のヘッジコストが増大するという事なのだ。逆に言えばオプション期間ゼロから始まって、どんどんオプション期間を長くすることによって、時間単位のヘッジコストがだんだん小さくなっていくのだ。つまり、ヘッジコストの合計、プレミアムのことだな、は、オプション期間が長くなるに従って増えるが、その増加率がだんだん小さくなっていくという事なのだ。」

さ:「おお、そういう事でしたか。6ヶ月のオプションだと、最初の3ヶ月は最後の3ヶ月に比べてガンマが小さいから、同じ3ヶ月でも、最後の3ヶ月に比べてヘッジコストが小さくなるという事ですね。」

神:「その通りじゃ。だから3ヶ月と6ヶ月のATMオプションのプレミアムを比べると、3ヶ月のオプションは6ヶ月のオプションの半分以上、70%位の値段が付くのだ。ITMやOTMの場合は、オプション期間が変わってもガンマの変化が少ないから、セータもかなり一定となるのだ。」

さ:「成る程!今までガンマとセータの定義はサル程度には解っていたけど、この2つの概念が関係しているとは知らなかったです。
これからもサル以上に頑張りますので宜しくお願いしまぁす、キー! 」

神:「信じる物は救われるのダ。最後に頭をパタパタしてやろうか?」

さ:「ドッキー!」

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